行政書士として障害福祉サービスの指定申請を支援し、自らも障害福祉・介護保険サービスの事業所を経営する立場から、開業・運営の実務を発信

運営・請求

開業1年目に初めて迎える年間イベントを、月ごとに整理する

こんにちは、ぺーさんです。

今回から、指定を受けて開業したばかりの事業所の運営者に向けた「運営1年目シリーズ」を始めます。第1回は、1年目に「初めて」出てくる年間イベントの整理です。

開業前後は、指定申請や人の採用で手一杯です。ところが運営が始まると、毎月の請求に加えて、年に1回だけ来る手続きが、思いがけない月に次々と現れます。「去年もやったから分かる」という経験が使えないのが、1年目の難しさです。

期限の管理表の作り方は、別の回で詳しく書く予定です。今回は表を作る前の段階として、「1年目に何が来るのか」の一覧と、初回に戸惑いやすい点に絞ります。

確認できた時期を整理する

まず事実の部分です。日付は令和8年(2026年)に確認できたものです。自治体で違うものは、その旨を書きます。

毎月あるもの

時期 内容 確認できたこと
毎月1日〜10日 国保連への請求 前月末までに行ったサービス分を、1日から10日までに請求する(大阪府国保連の案内)。10日を過ぎると当月には受け付けられない
毎月15日ごろ 報酬の入金 請求の翌月15日ごろに支払われるとする自治体の案内がある。国保連ごとの日程表で確認
毎月15日 加算の体制届の目安 障害福祉では、15日以前の届出は翌月、16日以降は翌々月から算定とする県の案内がある(詳しくは開業直後に見落としがちな加算届の期限)

年に1回のもの

時期 内容 確認できたこと
4月〜 処遇改善加算の計画書 令和8年度は、4月算定分は4月15日まで、6月算定分は6月15日までの特例があった。7月以降は、算定する月の前々月末日までとする自治体の案内がある
5月1日〜7月31日など 障害福祉サービス等情報公表の定期報告 ある県では、基本情報・運営情報の報告期限が令和8年7月31日。報告期間は都道府県で定める
6月1日〜7月10日 労働保険の年度更新 令和8年度は6月1日から7月10日まで。概算保険料は前年度の確定保険料をもとに計算し、年度終了後に確定保険料で精算する(厚生労働省)
7月1日〜7月10日 社会保険の算定基礎届 令和8年度は7月10日まで。4〜6月の報酬が基準。決まった標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用(日本年金機構)
7月10日 源泉所得税の納期の特例 給与を支払う人が常時10人未満で、承認を受けている場合、1〜6月分の納期限は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日(国税庁)
7月末 処遇改善加算の実績報告 介護保険は、各事業年度の最終の加算の入金があった月の翌々月末日(継続なら翌年7月31日とする東京都の案内)。障害福祉は自治体の案内を確認
9月ごろ 介護サービス情報の公表 都道府県ごとに異なる。ある県では令和8年に新規指定された事業所は「基本情報のみ」を9月8日〜30日に報告
12月 年末調整 毎月の源泉徴収額と、1年間の所得税額を精算する手続き(国税庁)
決算後3か月以内 経営情報の報告 障害福祉サービスは会計年度終了後3か月以内とする県の案内がある。介護保険も同様の制度があり、介護報酬が100万円以下などは対象外とする都の案内がある

開業や雇用からの「経過」で発生するもの

きっかけ 内容 確認できたこと
指定を受けたとき 障害福祉サービス等情報公表の初回報告 指定を受けた日から1か月以内とする県の案内がある
労働者の雇入れ時 雇入れ時の健康診断 常時使用する労働者が対象。パートタイム労働者も、常時使用される場合は対象(厚生労働省)
雇入れから1年以内ごと 定期健康診断 1年以内ごとに1回。結果の個人票は5年間保存(厚生労働省)
雇入れから6か月 年次有給休暇の付与 6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日。休日と休暇の違いは、求人票シリーズの記事で整理します
年1回以上など 研修・訓練・委員会 頻度はサービスの種類や基準で異なる。虐待防止はこちら、感染症はこちら、BCPはこちら。原文と自治体の資料で確認

なお、運営指導の時期は事業所ごとに通知されます。指定の更新は6年ごとで、1年目には来ません。

月別に並べると

上の表のうち、月が確認できたものだけを暦月に並べました。決算月や指定日で動くものは、自分の事業所の日付に置き換えてください。

月 確認できたイベント
4月 年度替わり。処遇改善加算の計画書(令和8年度の特例は4月15日まで)
5月 情報公表の定期報告が始まる県がある(障害福祉)
6月 労働保険の年度更新が始まる(1日〜)
7月 年度更新と算定基礎届(ともに10日まで)、源泉所得税の納期の特例、情報公表の報告期限、処遇改善加算の実績報告
9月 新しい標準報酬月額の適用開始、介護サービス情報の公表(県による)
12月 年末調整
1月 源泉所得税の納期の特例(7〜12月分、20日)
毎月 請求(1日〜10日)、入金(15日ごろ)、加算の体制届(15日が目安)

表にない月は、法定の期限がないという意味ではありません。私が公的資料で確認できたものに、その月の期限がなかったということです。

初回に戸惑いやすい点

ここからは、法令の内容ではなく、私の実務経験にもとづく考えです。

  1. 7月に3つの手続きが重なる 年度更新、算定基礎届、源泉所得税の納期の特例が、いずれも7月10日前後に集中します。最初の年は、6月に入ってから調べ始めると間に合いにくくなります。5月中に、誰が何を作るのかを決めておくと安心です。
  2. 開業年度の労働保険は「概算」から始まる 保険関係が成立した年度の保険料は概算保険料として納付し、あとで確定保険料として精算するとされています(厚生労働省)。1年目の年度更新は、この精算と次年度の概算が同時に来ます。賃金の集計期間は4月1日から3月31日なので、月ごとの賃金を集計できる形にしておくと作業が楽です。
  3. 算定基礎届は「4〜6月」の報酬で決まる 対象は7月1日現在の被保険者で、6月1日以降に資格を取得した人などは対象外とされています。開業直後に採用が続いた事業所ほど、誰が対象か迷いやすいところです。
  4. 処遇改善加算は「算定する月の前々月末」が起点 開業の時期によって、計画書を出すタイミングが変わります。年度の途中で開業した場合の考え方は、処遇改善加算の取得タイミングで整理しています。
  5. 情報公表と経営情報は、忘れやすい 決算後3か月以内などの期限は、自分の決算月から逆算しないと分かりません。

今日からできること(まず3つ)

  1. 決算月と指定日を確認し、上の表を自分の事業所の暦月に置き換えて、紙1枚にする
  2. 所轄の都道府県・市区町村の案内で、処遇改善加算の計画書・実績報告と、情報公表の報告期間を確認し、確認した日付を書き込む
  3. 5月と12月の予定表に、「年度更新・算定基礎届の準備」と「年末調整の準備」を先に入れておく

税務や社会保険、労働保険の具体的な手続きは、事業所の状況によって異なります。判断に迷うときは、税理士や社会保険労務士、所轄の窓口に確認してください。

まとめ

1年目は、初めて迎えるイベントが多く、順番も分かりにくい年です。まず「何がいつ来るのか」を1枚にして、全体像をつかむだけで、慌てる場面が減ると私は考えています。次回は、毎月の最大のイベントである「国保連への請求」を取り上げます。

本記事は、公開されている資料をもとに一般的な内容を整理した情報提供です。制度の最新の扱いや個別の事案については、所轄の自治体や専門家にご確認ください。

参考にした資料