行政書士として障害福祉サービスの指定申請を支援し、自らも障害福祉・介護保険サービスの事業所を経営する立場から、開業・運営の実務を発信

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尼崎市で障害児向けサービス事業者が約5,200万円を不正受給。返還は加算金込みで約7,200万円に

こんにちは、ぺーさんです。

兵庫県尼崎市が、市内で児童向けの障害福祉サービスなどを提供している事業者が、市の給付費を約5,200万円も不正に受け取っていたと発表しました。事業者は、市の聞き取りに対して不正受給を認めているそうです。

同じ兵庫県で、同じ障害福祉の仕事をしている者として、とても重く受け止めています。

今回は、報道で確認できる事実を整理したうえで、「なぜ返還額が5,200万円より大きくなるのか」と、私たちの事業所が日ごろから何を見直せばいいのかを考えます。

※本記事は報道されている範囲の概要に触れるのみで、事業所名などの固有名詞や、個別の事案の詳細には立ち入りません。

報道で確認できたこと

関西テレビの報道(2026年10月23日)によると、内容は次のとおりです。

  • 発表:尼崎市(2026年10月23日)
  • 事業者:尼崎市内で、児童向けの障害福祉サービスなどを提供している事業者
  • 期間:2022年から2025年まで
  • 不正に受け取った額:市の給付費 約5,200万円
  • 事業者の対応:市の聞き取りに対して不正受給を認めている
  • 処分とお金の扱い:市は事業者の指定を取り消し、約2,000万円の加算額を含めた 約7,200万円 の返還を求めている

どのような方法で不正に受け取っていたのか(手口)については、記事執筆時点で私が確認できた範囲では、詳しい情報は見つかりませんでした。市の正式な発表資料が公開されたら、あらためて確認したいと思います。

なぜ返還額が「約7,200万円」になるのか

不正に受け取った額は約5,200万円なのに、返還を求められている額は約7,200万円です。この差の約2,000万円が「加算金」です。

障害福祉サービスや障害児通所支援で、偽りや不正な手段で給付費を受け取った場合、市町村は受け取った額の返還に加えて、その額に100分の40(4割)を掛けた額 を上乗せして徴収できます。

約5,200万円 × 0.4 = 約2,080万円

報道の「約2,000万円の加算額」と、ほぼ一致します。

つまり、不正請求は「バレたら返せばいい」では済みません。返すときは1.4倍 です。さらに指定取消しになれば事業は続けられず、原則として一定期間は新たな指定も受けられなくなります。事業所にとっては、取り返しのつかない結果です。

尼崎市では、障害児向けサービスの不正が続いている

尼崎市では、過去にも障害児向けのサービスで不正受給による処分がありました。

  • 2020年12月:常勤の児童発達支援管理責任者や、必要な職員を配置しないまま運営し、給付費を不正に受け取っていたとして、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所が指定取消しに
  • 2025年1月:職員の配置が足りないのに「児童指導員等加配加算」などを算定していた、勤務時間の記録を実際より長く改ざんしていた、などとして、放課後等デイサービスなどを運営する2社が、指定取消しや新規受け入れ停止の処分に。尼崎市分では不正受給額約3,800万円に4割の加算金を上乗せし、約5,300万円の返還を求めた

今回の手口はまだわかりませんが、過去の事案を見ると、「人がいないのに、いることにして請求する」 という形が目立ちます。

障害児通所支援・障害福祉の事業所が見直したいこと

ここからは私の考えです。

1. 「勤務表」と「実際の出勤」がずれていないか

人員基準や加算は、「その時間に、その資格の人が、実際にいたか」で判断されます。勤務形態一覧表、出勤簿、タイムカード、サービス提供記録。この4つが一致しているかを、運営指導の前ではなく毎月確認することが大切です。

2. 人が辞めたら、すぐに届出と加算を見直す

職員の退職や長期の休みで、人員基準や加算の要件を満たさなくなることがあります。

尼崎市の案内では、加算が算定できなくなる場合は、事実が発生した日から10日以内に届出 が必要とされています。「新しい人が来るまでのつなぎだから」と、そのまま請求を続けてしまうのが一番危ないパターンです。

3. 記録は「あとから直さない」

過去の事案では、勤務時間の記録の改ざんが処分理由になっています。記録を直す必要があるときは、元の記載を消さずに、修正日・修正者・理由を残しましょう。昨日の記事でも書きましたが、監査の最中に記録を書き換えると、処分はさらに重くなります。

4. 外からの「おかしい」に耳をふさがない

2025年の事案は、市への情報提供がきっかけで発覚したと報じられています。職員や保護者が「これはおかしい」と感じたことは、いずれ外に出ます。内部で言い出しやすい雰囲気をつくることも、事業所を守る仕組みのひとつです。

今日からできること3つ

  1. 今月の勤務形態一覧表と出勤簿を並べて見比べる 資格・時間・人数が、人員基準と算定している加算の要件を満たしているかを確認します。

  2. 算定している加算を一覧にし、要件を書き出す 「なぜこの加算を取れているのか」を、管理者が説明できる状態にしておきます。

  3. 自己点検を定期的に行う 運営指導の通知が来てからではなく、半年に1回など時期を決めて点検します。

点検の準備に

ふくしノートでは、運営指導の前に自分で確認できる点検表を無料で公開しています。障害児向けサービスの版もあります。

常勤換算を自動で計算する勤務形態一覧表も用意しています。

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まとめ

  • 尼崎市が、児童向けの障害福祉サービスなどを提供する事業者による約5,200万円の不正受給を発表しました(2022年〜2025年)
  • 事業者は不正を認めており、市は指定を取り消し、加算金約2,000万円を含む約7,200万円の返還を求めています
  • 不正に受け取った給付費は、返すときに4割の加算金が上乗せされます
  • 尼崎市では過去にも、職員がいないのに加算を算定するなどの不正で、障害児向けサービスが処分されています
  • 勤務表と実際の出勤のずれ、退職後の届出漏れ、記録の後からの修正。この3つは、どの事業所でも今日から確認できます

以下は私の考えです。障害のある子どもたちとそのご家族にとって、通い慣れた事業所がなくなるのは本当に大きなことです。不正は、事業所だけでなく、利用している子どもたちの生活まで壊してしまいます。こうしたニュースを「ひとごと」で終わらせず、自分の事業所の足もとを確認するきっかけにしたいと思います。

本記事は、報道など公開されている情報をもとに一般的な内容を整理したものです。最新かつ正確な内容は、各省庁・自治体の公式資料をご確認ください。

参考にした資料