運営指導でよく指摘される書類不備トップ5【障害福祉事業所向け】
こんにちは、ぺーさんです。
かつて「実地指導」と呼ばれていたこの制度、今は「運営指導」という名称に変わっています。呼び方だけでなく、実施の考え方も少しずつアップデートされてきているので、今日は障害福祉事業所の皆さんが特につまずきやすい書類不備トップ5を、予防策とあわせてまとめてみます。
そもそも運営指導ってどのくらいの頻度で来るの?
「うちはまだ一度も来たことがないから大丈夫」と思っている事業所さん、要注意です。
厚生労働省は指定権者(都道府県・市町村)に対して、運営指導を指定の有効期間内(6年)に少なくとも1回以上は実施するよう求めています。さらに、営利法人が運営する事業所が急増しているサービス類型(就労継続支援A型・B型、グループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービスなど)については、3年に1回以上の頻度で行うことが重点化の方針として示されています。
つまり「指定を取ってから一度も来ていない」からといって、この先もずっと来ないとは限りません。むしろ、営利法人の参入が多い分野ほど、確実に順番が回ってくると考えておいた方がいいでしょう。
前置きが長くなりましたが、本題のトップ5にいきましょう。
1. 重要事項説明書の記載漏れ
利用者さんと契約する際にお渡しする重要事項説明書。実はここ、地味に記載漏れが多発するポイントです。
- 第三者評価を受審していない場合でも「実施 無」と明記する必要がある
- 事故発生時の対応
- 秘密保持と個人情報の保護
- 領収書の交付方法
このあたりは「うちは受けていないから書かなくていい」と誤解されがちですが、実施していない事実そのものを記載する必要があります。契約書のひな形を作った時期のまま更新していない事業所さんは、一度見直してみてください。
2. 各種届出(変更届)の未提出
運営規程を変更したのに、指定権者への届出を忘れている——これは運営規程に限った話ではありません。
- 管理者やサービス管理責任者の変更
- 勤務体制・従業者の異動
- 事業所の設備・構造、面積の変更
など、指定内容に変更があった場合は、一定期間内(多くの自治体で10日以内)に届出をする義務があります。「規程は直したけど届出は忘れていた」というのは非常によくあるパターンなので、変更があった際は「届出セットで動く」を社内ルールにしておくと安心です。
3. 労働条件通知書(雇用契約書)の未交付・未整備
労働基準法第15条により、賃金・労働時間などの労働条件は書面で交付することが義務付けられています。常勤・非常勤を問わず必要な書類ですが、特にパート・非常勤職員の分が抜けているケースが目立ちます。
「長く働いてもらっているから口約束で十分」という関係性でも、書面がなければ運営指導では不備として指摘されます。職員名簿と突き合わせて、抜けがないか確認しておきましょう。
4. BCP(業務継続計画)の未作成・形式的な整備
ここ最近義務化されたばかりの項目なので、少し詳しく解説します。
運営指導でのBCPチェックは、大きく3段階で見られます。
① そもそも作成されているか 感染症BCP・自然災害BCPそれぞれについて、計画そのものが存在するかがまず確認されます。
② 最低限記載すべき項目が網羅されているか 「ひな形をダウンロードしただけ」で自事業所の実情に合わせていないケースは、記載項目が揃っていても不十分と判断されることがあります。人員体制、必要な物資、緊急時の連絡体制など、自事業所の状況に即した内容になっているかが見られます。
③ 研修・訓練がきちんと実施されているか 計画を作って終わりではなく、研修や訓練を実施した記録(実施日・参加者・内容・気づいた課題・改善点)まで残っているかが確認されます。「計画はあるが訓練記録がない」というのが最も多い指摘パターンです。
作って終わりではなく、「作る→周知する→訓練する→記録する」までを一つのセットとして捉えておくことが大切です。
5. 個別支援計画の不備(同意エビデンスを含む)
最後は個別支援計画です。支援記録との整合性(計画の目標と日々の記録が連動しているか)も大事な確認ポイントですが、それ以上に重点的にチェックしておきたいのが利用者本人・ご家族からの同意のエビデンスです。
障害福祉サービスの現場では、こんなことが実際に起こりがちです。
- 身体介護や家事援助の時間が余っているからと、事業所側の判断だけでサービス内容を追加してしまう
- それに伴い、本人の了承のないまま報酬算定を行ってしまう
- きちんと説明していたつもりでも、本人やご家族がその内容を忘れていたり、正しく理解していなかったことが後々のトラブルに発展する
事業所としては「提供したサービスの内容について、きちんと本人・家族の同意を得たうえで実施し、正当な根拠にもとづいて報酬を請求している」ことを、書面で証明できる状態にしておく必要があります。
そのために欠かせないのが、個別支援計画書への署名です。口頭での同意や、説明した記憶があるというだけでは、運営指導の場では「エビデンスがない」とみなされてしまいます。計画を作成・変更するたびに、本人またはご家族の署名を必ず取っておく——これは他のどの項目よりも重点的にチェックしておくべきポイントです。
まとめ:運営指導への一番の対策は「日頃の整備」
5つの不備に共通しているのは、どれも「知らなかった」「後回しにしていた」ことが原因になりやすいという点です。そして運営指導で不備が見つかった際、絶対にやってはいけないのが書類の隠蔽・偽造・虚偽報告です。日付を書き換えたり、存在しない記録を後から作ったりする行為は、重大な処分につながりかねません。
不備があれば正直に説明し、改善策を示す——これが事業所の信頼を守る一番の方法です。日頃から書類を整えておけば、運営指導の日に身構える必要もなくなります。
なお、加算(処遇改善加算・特定事業所加算・専門職配置加算など)の算定要件にまつわる記録不備については、特に厳しくチェックされるポイントなので、別記事で詳しく解説する予定です。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については指定権者や専門家にご確認ください。