事業で得た資金の資産形成を考えるとき——高リスク投資アプリの仕組みとリスクを知る
事業が軌道に乗り、当面の運転資金にある程度の余裕が生まれてくると、「残った資金をどう活用するか」を考える事業者の方も増えてきます。SNSや検索広告では、スマートフォンひとつで株式・為替・暗号資産などに取引できる投資アプリの広告を目にする機会も多くなりました。今回は、その代表例として、DMM.com証券が提供する「TOSSY(トッシー)」を例に、投資アプリの仕組みと、利用する前に必ず理解しておきたいリスクを整理します。
TOSSYはどんなサービスか
【PR】ウルトラ投資アプリ【TOSSY】は、株式、為替(FX)、暗号資産、株価指数、商品資源(金や原油)まで、複数の取引をひとつのアプリで行えるサービスです。
ここで注意しておきたいのは、TOSSYで取引できる商品の多くが、いわゆる「株を買う」という単純な現物取引ではなく、店頭外国為替証拠金取引(FX)や、個別株式CFD・株価指数CFD・商品CFD・暗号資産CFDといった「差金決済取引」である点です。差金決済取引とは、預けた証拠金(担保となるお金)を元に、その何倍もの金額の取引を行い、売買時の価格差だけをやり取りする仕組みで、少ない資金で大きな取引ができる一方、損失が出た場合は預けた証拠金以上の金額を失うおそれがある取引形態です。
証拠金・レバレッジの具体的な仕組み
TOSSYの提供する各取引の必要証拠金と、証拠金に対する取引額の比率(レバレッジ)の上限は、次のとおりです(2026年9月時点、DMM.com証券公表情報に基づく)。
- FX:取引額の4%(最大レバレッジ約25倍)
- 個別株式CFD・バラエティCFD:取引額の20%(最大レバレッジ約5倍)
- 株価指数CFD:取引額の10%(最大レバレッジ約10倍)
- 商品CFD:取引額の5%(最大レバレッジ約20倍)
- 暗号資産CFD:取引額の50%(最大レバレッジ約2倍)
アカウント管理費・取引手数料自体は無料ですが、これは「取引コストがかからない」ことを意味するものではありません。取引対象となる通貨ペア・銘柄・暗号資産の価格変動、スワップポイントや金利調整額の変動、各国の金融政策や金融指標の変動などによって損失が生じる可能性があり、証拠金に対して取引額が大きいレバレッジ取引である以上、その損失は預けた証拠金の額を上回るおそれがあります。また、売付価格(ビット)と買付価格(アスク)の差であるスプレッドは、相場が急変動した際に拡大したり、意図したタイミングで取引できなくなったりする可能性があります。暗号資産についても、法定通貨のようにその価値が保証されているものではない点は理解しておく必要があります。
事業者としてこの種の商品を検討する際の考え方
事業資金の運用先を検討する際、まず整理しておきたいのは、事業の運転資金と、リスクを取ってよい余剰資金を明確に分けることです。差金決済取引は、少額の証拠金で大きな金額を動かせる分、価格変動が事業に必要な資金そのものへ影響を及ぼしかねません。開業資金や当面の運転資金に手をつけてまで取引を行うことは避け、たとえ余剰資金であっても、失っても事業や生活に支障が出ない範囲にとどめておくことが基本になります。
また、こうした取引は初心者にも分かりやすく設計されたアプリであっても、対象となる商品の仕組みそのものが複雑であることに変わりはありません。取引を始める前には、契約締結前交付書面や約款に必ず目を通し、リスクの内容を十分理解したうえで、取引の最終判断はご自身の責任で行う必要があります。本記事は特定の商品への投資を推奨するものではなく、判断にあたっては上記書面のほか、必要に応じて金融の専門家にもご確認ください。
事業者の概要・お問い合わせ先
TOSSYを提供する事業者の登録情報と、苦情・相談窓口は次のとおりです(2026年9月時点の公表情報)。
事業者概要
- 商号等:株式会社DMM.com証券
- 登録:関東財務局長(金商)第1629号(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
- 加入協会等:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本商品先物取引業協会、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会
苦情・相談窓口
- DMM.com証券 コンプライアンス部:03-3517-3285(月〜金 9:00〜17:00、祝日を除く)
- FX/株価指数CFD:証券・金融商品あっせん相談センター 0120-64-5005(月〜金 9:00〜17:00、祝日を除く)
- 商品CFD:日本商品先物取引業協会 相談センター 03-3664-6243(月〜金 9:00〜17:00、祝日を除く)
同社の企業情報は、本店・公式ホームページおよび日本商品先物取引協会のホームページでも開示されています。
まとめ——投資アプリの広告を見たときに確認したい3点
- 「取引手数料無料」であっても、レバレッジ取引には証拠金以上の損失が出るリスクがある
- 事業の運転資金と、リスクを取ってよい余剰資金は明確に分けて考える
- 取引を始める前には契約締結前交付書面・約款を必ず確認し、最終判断は自己責任で行う
本記事は一般的な情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。金融商品取引に関する制度や手数料、リスクの内容は変更される場合があるため、実際の取引にあたっては、必ず契約締結前交付書面・約款など最新の公式情報をご確認のうえ、ご自身の判断と責任で行ってください。当事務所は金融商品取引の助言を行う立場にはありません。