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労務・採用

求人票と労働条件通知書の「就業場所・業務の変更の範囲」とは:2024年4月改正の明示ルール(求人票シリーズ第6回)

こんにちは、ぺーさんです。

「求人票シリーズ」の第6回です。今回は、2024年4月の制度改正で加わった「就業場所・業務の変更の範囲」などの明示ルールを取り上げます。

「求人票の勤務地は○○事業所とあるけれど、将来は別の事業所に移る可能性があるのか」。この疑問に答えるための項目、と考えると分かりやすいです。制度の中身と、求人票と労働条件通知書での扱いの違いを整理します。

2024年4月に何が変わったか

厚生労働省の案内では、2024年4月から労働条件の明示ルールが変わり、次の事項が追加されました。

追加された事項 対象 明示するタイミング
就業場所・業務の変更の範囲 すべての労働者 労働契約の締結時と、有期契約の更新時
更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容 有期契約の労働者 契約の締結時と更新時
無期転換申込機会 無期転換申込権が発生する有期契約の労働者 申込権が発生する契約の更新ごと
無期転換後の労働条件 同上 同上

根拠は、労働基準法施行規則第5条の改正です(令和5年厚生労働省令第39号、令和5年厚生労働省告示第114号)。条文では、第1項で「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)」を明示事項とし、第5項・第6項で無期転換の申込みに関する事項などを定めています。

「変更の範囲」とは何か

厚生労働省のQ&Aによれば、「変更の範囲」とは、その労働契約の期間中に、就業場所や業務が変わり得る範囲のことです。採用直後の配属先だけでなく、将来の配置転換なども含めて考えます。有期契約の場合、更新後の契約期間で予定される変更までは含まれません。

厚生労働省のリーフレットには、募集時の記載例として、次のようなものが挙がっています。

  • 就業場所:「本社および全国の支社、営業所」「都内23区内の営業所」
  • 業務:「製造業務を除く当社業務全般」

これを介護・福祉の事業所に置き換えると、たとえば次のような書き方が考えられます(架空の記載例です)。

項目 記載例
就業場所(雇入れ直後) 当事業所(○○市内)および利用者宅
就業場所の変更の範囲 当法人が運営する○○市内の事業所
業務(雇入れ直後) 訪問介護(身体介護・生活援助)
業務の変更の範囲 当法人が行う訪問介護および居宅介護

在宅勤務などのテレワークを想定する場合は、その旨も明示する例が、厚生労働省のパンフレットで示されています。

更新上限と無期転換の明示

更新上限は、第5回でも触れたとおり、通算契約期間または更新回数のどちらかで書きます。上限を新設または短縮する場合は、あらかじめ理由を説明することが、有期労働契約に関する告示(第1条)に定められています。

無期転換については、無期転換申込権が発生する有期契約を結ぶとき(更新時を含む)に、次の2点を明示します。

  • 無期転換を申し込める旨
  • 申込みによって転換した後の労働条件

このうち、無期転換後の労働条件を決めるにあたり、正社員など他の労働者とのバランスを考慮した事項を説明するよう努めることも、告示第5条に定められています(努力義務)。

募集時(求人票)と契約時(労働条件通知書)の関係

ここが混同しやすい点です。

求人票など(募集時) 労働条件通知書など(契約時)
根拠 職業安定法第5条の3、職業安定法施行規則第4条の2第3項 労働基準法第15条第1項、同法施行規則第5条
変更の範囲 業務・就業場所ともに明示 明示
更新の基準・上限 明示 明示
無期転換申込機会・転換後の労働条件 募集時の明示事項には見当たらない 明示(申込権が発生する契約時)
方法・時期 原則、求職者と最初に接触する時点までに明示。面談時に詳細を伝える旨を付記する方法もある 書面の交付。本人が希望した場合は、書面として出力できる電子メールなども可

なお、労働基準法施行規則第5条第2項は、契約時に明示する労働条件を事実と異なるものとしてはならないと定めています。求人票の内容と実際の契約内容がずれないようにすることも大切だと、私は考えています(これは私の考えです)。

2025〜2026年の追加改正はあるか

私が確認できた範囲では、2024年4月の改正以降に、この4項目の明示ルールを変える改正は見当たりませんでした。職業安定法関係でも、求人情報を扱う事業者(職業紹介事業者や募集情報等提供事業者など)に向けたルールの見直しはありますが、求人票の記載項目そのものを増やすものは、見当たりませんでした。労働政策審議会の労働条件分科会では、労働基準関係法制の議論が続いていますが、確定した内容は確認できていません。制度は動く可能性があるため、実際に書くときは、厚生労働省や労働局の最新情報を確認してください。

求人票を書く側の注意点

以下は法令の内容ではなく、私の実務経験にもとづく考えです。

  • 「変更の範囲」を広く書くのは簡単ですが、現実の運用と合わせることが大切です。たとえば、実際には転勤の予定がないのに「全事業所」と書くと、読む側に不安を与えます
  • 求人票、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則で、変更の範囲の表現をそろえます
  • 登録ヘルパーなど働き方が多様な職種ほど、担当する業務や場所の範囲をあらかじめ整理しておくと書きやすくなります

求人票を読む側の注意点

  • 「変更の範囲」の欄で、今回の勤務先だけか、他の事業所や業務にも変わり得るのかを確認する
  • 範囲が広いことが、必ずしも悪いわけではありません。将来の可能性を、あらかじめ示しているだけです
  • 分からなければ、面接で「実際にどの程度異動があるか」を聞いてみる

まとめ

  • 2024年4月から、就業場所・業務の「変更の範囲」を明示することになった
  • 更新上限、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件も、契約時・更新時の明示事項に加わった
  • 求人票(職業安定法)と労働条件通知書(労働基準法)では、根拠も明示する項目もやや異なる

次回の第7回は、「介護・福祉の求人票の注意点」を取り上げます。

本記事は、公開されている資料をもとに一般的な制度を整理した情報提供です。個別の事案や最新の法令の扱いについては、社会保険労務士などの専門家や労働局にご確認ください。

参考にした資料

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