行政書士として障害福祉サービスの指定申請を支援し、自らも障害福祉・介護保険サービスの事業所を経営する立場から、開業・運営の実務を発信

現場の管理

加算・書類の期限を落とさない管理表の作り方:変更届・体制届・指定更新・研修を一枚に

こんにちは、ぺーさんです。

「マネジメントシリーズ」の第6回は、期限の管理です。

事業所の運営には、「いつまでに何を出す」「いつまでに何を実施する」が意外なほどたくさんあります。ひとつ落としただけで、加算が算定できなくなったり、指定の更新ができなくなったりするものもあります。頭の中や担当者の記憶に頼ると、忙しい月ほど抜けやすくなります。

今回は、公的資料で確認できた期限を整理したうえで、それを一枚の管理表と年間カレンダーにする方法を書きます。

制度上の期限:確認できたもの

まず事実の部分です。自治体によって扱いが違うものは、その旨を書きます。

項目 確認できた内容 注意
変更届(介護保険) 原則として変更後10日以内。登記事項の変更は、登記完了後の届出で差し支えないとする自治体がある 事業所の移転や定員の変更など、事前の届出が必要なものがある
変更届(障害福祉) 変更があった日から10日以内とする自治体が複数ある 移転・定員増などは事前の手続きが別にある場合がある
加算の体制届(介護保険・訪問系) 加算等を算定する月の前月15日まで(ある県の案内) 入所・居住系は当月1日までなど、サービスの種類で異なる
加算の体制届(障害福祉) 15日以前の届出は翌月から、16日以降は翌々月から算定(ある県の案内) 単位数が減る場合や算定できなくなる場合は、速やかな届出が求められる
指定の更新 6年ごと。更新しないと有効期間の満了で指定の効力を失う 申請の受付期間は自治体ごとに異なる。ある市の障害福祉の案内では満了の2か月前まで
運営指導(介護保険) 国のマニュアルでは、指定の有効期間内に少なくとも1回。実施は、おおむね1月以上前までに通知 障害福祉サービスの扱いは、所轄の自治体に確認
処遇改善加算の実績報告 各事業年度の最終の加算の入金があった月の翌々月の末日まで(ある都の案内では、継続の場合は翌年7月31日) 計画書の期限は年度や算定開始月で異なる。障害福祉分野は別の制度なので、所轄の自治体に確認

体制届については、「要件を満たしたうえで期限までに届け出なければ算定できず、過去にさかのぼって届け出ることはできない」とする自治体の案内があります。また、加算が算定できなくなった場合の届出が遅れると、返還が生じることがあるとする案内もあります。

上の表の日数や時期は、私が確認した自治体の案内にもとづくものです。事業所の所在地での扱いは、必ず「所轄の自治体に確認」してください。 とくに提出先、締切日が閉庁日にあたる場合の扱い、電子申請の有無は、自治体で違います。

研修・訓練・委員会

令和6年4月から、感染症対策・業務継続計画(BCP)・虐待防止に関する委員会や研修、訓練が義務化されています。頻度はサービスの種類で異なります。ある市の介護保険の一覧表では、訪問系サービスは、虐待防止・感染対策・BCPの研修と、感染対策・BCPの訓練が「年1回以上」とされています。障害福祉サービスは別の基準で、頻度の書き方も資料で違いますから、必ず原文と自治体の資料で確認してください。

職員の健康診断

労働安全衛生法にもとづく定期健康診断は、常時使用する労働者について、1年以内ごとに1回実施します(厚生労働省の資料)。パートタイム労働者も、常時使用される場合は対象になります。深夜業を含む特定の業務に従事する人は、6か月以内ごとの健診が求められます。対象になるかどうかは、労働基準監督署などにご確認ください。

管理表の作り方

ここからは、法令の内容ではなく、私の実務経験にもとづく考えです。

洗い出しの4つの区分

期限は、次の4つに分けて書き出すと抜けが減ります。

  1. 行政への届出・申請:変更届、体制届、指定更新、処遇改善加算の計画書・実績報告
  2. 事業所として実施するもの:研修、訓練、委員会、運営規程・重要事項説明書の見直し
  3. 職員に関するもの:健康診断、資格証の写しの更新、運転免許の有効期限
  4. 利用者に関するもの:受給者証や認定の有効期間、契約書・計画書の見直し時期

管理表の仮想例

次の表は仮想の例です。この表に「所轄自治体に確認済み」の列を足しておくと、「調べたつもり」を防げます。

区分 項目 期限・頻度 根拠の確認先 担当 予定日 状況
届出 管理者変更の変更届 変更後10日以内 自治体の案内(確認日:〇月〇日) 管理者 変更日+7日 未
届出 新規加算の体制届 算定月の前月15日まで 自治体の案内(確認済) サ責 前月10日 未
届出 指定更新 満了日の〇か月前までに申請 自治体の案内 管理者 〇年〇月 未
実施 虐待防止研修 年1回以上 基準・自治体資料 管理者 〇月 済
実施 BCPの訓練 年1回以上 基準・自治体資料 サ責 〇月 未
職員 定期健康診断 1年以内ごとに1回 厚生労働省の資料 事務 〇月 未
利用者 受給者証の有効期限確認 期限の2か月前に確認 事業所の内規 サ責 毎月末 未

ポイントは3つです。

  • 法令上の期限と、事業所が自分で決めた「社内の締切」(法定の期限の1〜2週間前)を別の列にする
  • 担当者は「人」ではなく「役割」で書き、休職や退職でも引き継げるようにする
  • 「なぜこの期限か」の根拠を書いておく。制度改正のたびに見直しの対象が分かる

年間カレンダーにする

管理表の予定日を、月ごとに並べ替えると年間カレンダーになります。研修や訓練は特定の月に集中しないように散らし、加算の見直しや処遇改善加算の実績報告のような大きな作業は、繁忙期を避けて準備の開始月を決めます。運営指導は、通知が来てから準備をするのではなく、通知の1月前までに書類がそろっている状態を「いつもの状態」にしておくのが理想だと考えます。

月次・年次のチェックの進め方

私は、次のような形が続けやすいと考えています。

毎月(月初の15分)

  • 管理表を開き、今月と来月に期限がある項目を確認する
  • 前月に変更があった事項(管理者、勤務体制、運営規程、連絡先、加算の要件)を洗い出し、変更届の要否を判断する
  • 算定を始めたい加算があれば、体制届の締切日から逆算して準備を始める

毎年(年度替わり前と、年に一度の棚卸し)

  • 管理表を最新の基準・自治体の案内と見比べ、期限や頻度の変更がないか確かめる
  • 年間の研修・訓練・委員会の予定を決める
  • 指定の有効期間の満了日と、次の運営指導の可能性を確認する

まず今日やること3つ

  1. 指定の有効期間の満了日を、指定通知書などで確認し、管理表の最初の行に書く
  2. 変更届と体制届の締切を、所轄自治体のホームページで確認し、確認した日付を記録する
  3. 直近1年で実施した研修・訓練・委員会を一覧にして、来年度の予定を仮置きする

まとめ

期限管理は、記憶の力ではなく、仕組みで守るものだと私は考えています。制度上の期限を確かめ、管理表とカレンダーに落とし、毎月15分の確認を続ければ、多くの「うっかり」は防げます。次回は、第7回「離職を防ぐ面談」を取り上げます。

本記事は、公開されている資料をもとに一般的な内容を整理した情報提供です。制度の最新の扱いや個別の事案については、所轄の自治体や専門家にご確認ください。

参考にした資料

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