行政書士として障害福祉サービスの指定申請を支援し、自らも障害福祉・介護保険サービスの事業所を経営する立場から、開業・運営の実務を発信

体制整備

利用者さんの無断撮影・SNS投稿で謝罪の事例。福祉事業所が今すぐ決めたい5つのルール

こんにちは、ぺーさんです。

先日、医療機関で看護師が患者さんを無断で撮影し、ショート動画としてSNSに投稿していたと報じられました。報道によると、病院側は謝罪し、動画には患者さんを中傷するような言葉が添えられていたとのことです。

これは医療現場の話ですが、福祉事業所にとっても他人事ではありません。利用者さんとの距離が近く、日常の場面をスマホで撮れてしまう福祉の現場こそ、SNSのルールを決めておく必要があります。

※本記事は報道されている範囲の概要に触れるのみで、個別の事案の詳細には立ち入りません。

なぜSNSの問題が福祉事業所で起きやすいのか

  • 利用者さんと過ごす時間が長く、「撮りたくなる場面」が多い
  • 職員が私物のスマホを業務中に持っていることが多い
  • 「かわいい」「面白い」という悪気のない気持ちで投稿してしまう
  • 愚痴や悩みを、つい匿名アカウントで吐き出してしまう

悪意がなくても、投稿した瞬間に取り返しがつかなくなります。

何が問題になるのか

1. 個人情報・プライバシーの侵害

顔や声はもちろん、自宅、持ち物、障害の状況、通っている事業所名なども、組み合わせれば個人が特定されます。「顔は隠したから大丈夫」とは言えません。

2. 守秘義務違反

職員には、業務上知り得た情報を漏らさない義務があります。この義務は退職後も続きます。

3. 人格の尊重・虐待防止の観点

利用者さんを笑いものにする、揶揄する投稿は、尊厳を傷つける行為です。虐待防止研修で扱う「心理的虐待」にも関わりかねません。

4. 事業所の信用失墜

一度の投稿で、事業所全体の信頼が揺らぎます。

今すぐ決めたい5つのルール

① 利用者さんの撮影・録音は原則禁止

業務上必要な場合(記録、広報など)は、事前に本人・家族の書面同意を得たうえで、事業所が許可した端末のみで撮影します。

② 業務中の私物スマホの扱いを決める

ロッカー保管、または業務連絡以外は使用禁止など、事業所の実情に合わせて定めます。

③ SNSへの業務に関する投稿を禁止する

利用者さん、同僚、事業所に関する投稿は、匿名・裏アカウントでも禁止します。「特定されないようにぼかした」場合も同様です。

④ 入職時に誓約書を取り、年1回は研修で確認する

ルールは作っただけでは意味がありません。誓約書への署名と、年1回のミニ研修をセットにします。

⑤ 違反したときの対応を決めておく

事実確認、本人・家族への連絡、削除要請、懲戒の手順をあらかじめ決めておくと、慌てずに済みます。

投稿前のセルフチェック(職員向け)

  • この投稿に、利用者さんや同僚が写っていないか
  • 場所や持ち物から、事業所や個人が特定されないか
  • 本人が見たらどう感じるか
  • 家族や上司に見られても問題ないか
  • 少しでも迷ったら、投稿しない

まとめ

SNSのトラブルは、「知らなかった」「軽い気持ちだった」から起こります。規程と誓約書、そして定期的な研修で、職員を守り、利用者さんを守り、事業所を守ることができます。

なお、SNS利用ガイドライン+誓約書のひな形を用意しました。記入例つきのWord版です。詳しくは雛形テンプレート販売ページをご覧ください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については専門家にご確認ください。