【訪問介護開業記】運営指導が終わりました——当日の流れと指摘事項
「訪問介護開業記」シリーズの第9回、これまでの振り返りの最終回です。前回、運営指導の通知が来たところまで書きましたが、今回はその運営指導が実際にどう進んだかを振り返ります。
準備期間の精神的なプレッシャー
実施日の約1か月半前に通知が届いてからというもの、日々の業務の合間を縫って、ひたすら書類の作成とチェックに追われる日々でした。幸い、普段からある程度は整理していたため、毎日深夜まで作業……という状況にはなりませんでした。
それでも頭から離れなかったのは、「どこをチェックされるのか分からない」という不安でした。もし万が一、報酬返還なんてことになったら——。そんな最悪のケースが頭をよぎり、準備期間中は常にどこか落ち着かない、精神的なプレッシャーが続いていました。
当日の流れ
対応したのは管理者とサービス提供責任者の2名。市役所からは担当者が2名来所されました。当日の流れを時系列でまとめると、次のようになります。
- 9:30 担当者が事務所に来所。いよいよ本番。空気が一気に引き締まります。
- 9:40 当日の手順説明。全体の流れや確認ポイントについて説明を受けます。
- 9:50 設備基準のチェック。事務所内の設備が基準を満たしているか、一つひとつ確認。
- 10:00 書類確認。ここがメインの山場でした。人員基準・運営基準・報酬請求に関する書類について、チェックリストに沿って細かく確認が進みます。ひたすら「抜けや漏れがないか」を見られる時間で、最も緊張感が高まる場面です。
- 11:40 チェック完了・講評。すべての確認が終わり、結果についての講評を受けます。
- 12:00 終了。約2時間半にわたる運営指導が終了しました。
こうして振り返るとあっという間ですが、実際は一つひとつの確認に神経を使い、非常に濃い時間でした。ただ、合間には担当者の方が気さくに雑談に応じてくださったり、和やかな雰囲気で進んでいきました。
主な指摘事項
今回の運営指導で受けた主な指摘は、次のとおりです。
- 運営規程、重要事項説明書は相談スペースに設置し、誰でも閲覧できる状態にする
- 「訪問型サービス」のキャンセル料について、運営規程は無料・重要事項説明書は有料となっていたため、運営規程に合わせて修正
- 勤務一覧表に常勤・非常勤の区別を明記する
- 通院介助のサービス提供時は、タイムスケジュール(例:●時トイレ介助、●時診察)を記載する
- 「サービスの質の評価」は年度末に実施し、HP掲載や相談室への掲示を行う
- BCPは「研修」と「訓練」を区別して記録を残す
- 感染症BCPの標題にある「新型コロナウイルス」の文言は削除する
- 身体拘束・虐待防止についても、「委員会」と「研修」を区別して記録する
- 苦情相談窓口はHPや情報公表システム等で公表する
利用者ファイルの確認項目
個別の利用者ファイルについては、次の点がチェックされました。
- 夜間早朝・深夜加算
- 2人介助の必要性
- 通院介助の内容
- サービス担当者会議の記録
- 居宅サービス計画書
- 契約書、重要事項説明書、個人情報同意書
こちらからの質問と回答
実地指導の中で、気になっていた点も確認しました。
Q. 運営規程の「通常の事業の実施地域」について、近隣市の利用者にもサービス提供する場合、規程の修正は必要か? → 不要。実施地域に記載すると、その地域の依頼を断れなくなるため、むしろ記載しない方がよいとのこと。
Q. 処遇改善加算について、法人役員には配分できないのか? → 可能。直接処遇職員であれば対象になる。
まとめ
全体として、想像していたほど細かい部分まで踏み込まれることはありませんでした。ただし、「書類が揃っているかどうか」は前提として非常に重要です。
その上で特にチェックされていたのは、近年減算対象として厳しく見られている項目(BCP、虐待防止、感染症対策など)と、各種加算の算定要件(特定事業所加算、処遇改善加算、夜間早朝・深夜加算、2人介助など)でした。このあたりは「なんとなくやっている」ではなく、要件を満たしている根拠をきちんと残しているかがポイントだと感じました。
当事業所では比較的指摘事項は軽微で済んだのではないかと思いますが、同時期に運営指導があった同市内の別の事業所では、もっと多く指摘を受け、指摘内容も厳しいものだったと聞きました。制度趣旨をきちんと理解しているか、実績を目に見える形で記録に残しているかが明暗を分けると思います。
これから運営指導を受ける方は、まずは基本書類の整備を行ったうえで、減算・加算に関わる部分を重点的に見直しておくことをおすすめします。開業直後から準備しておきたい書類整備のポイントは、こちらの記事でも解説していますので、あわせて参考にしてください。
以上、9回にわたってお届けした「訪問介護開業記」シリーズはこれで一区切りです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。これから介護事業を始めようと考えている方の、少しでも参考になれば嬉しいです。