【訪問介護開業記】開業~3か月目——最初の利用者さんたち
「訪問介護開業記」シリーズの第7回です。今回は、開業から3か月間で出会った利用者さんたちについて振り返ります。
開業1か月目:最初の利用者は、想像以上に重度でした
開業1か月目にご利用いただいたのは、2名の利用者さんでした。
1人は60代男性で、障害区分6、医療的ケアがあり、65歳未満のため障害福祉サービスを利用されている方でした。1日3回ヘルパーが訪問し、複数の事業所が交代で対応する体制の中で、当事業所は週6回の訪問を担当することになりました。医療的ケアが必要な方だったため、主に看護師資格を持つスタッフが対応しました。
もう1人は60代男性で、要介護5・障害区分6、介護保険と重度訪問介護を併用されている方でした。医療的ケアはありませんでしたが独居で、日常生活のほとんどに介助が必要なため、1日に7〜8回という非常に頻回な訪問が必要でした。
このお二人は、開業したばかりで仕事が少ない事業所にとって本当にありがたい存在で、この2名がいなければ開業早々に経営が立ち行かなくなっていた可能性すらあります。今でも事業所の売上において大きなウエイトを占める、かけがえのない存在です。
開業2か月目:少しずつ広がるご縁
開業2か月目には、新たに2名の利用者さんが増えました。
1人は70代男性で、要介護5・障害区分6、介護保険と重度訪問介護を併用されている、重度で寝たきりの方でした。脳性まひがあり、四肢の拘縮も強く、座位保持も介助がなければ難しい状態で、2人介助で週3回、食事介助に伺うことになりました。人員配置やシフト調整の難しさを、ここで初めて実感することになります。
もう1人は50代男性で、障害区分6の脳性まひのある方でした。室内では四つ這い、外出時は電動車いすで移動されており、入浴介助、移乗介助、移動支援などを中心に関わることになりました。高齢のお母様と2人暮らしで、これまでは自宅内での介助をお母様お一人で担ってこられたそうですが、身体的な負担が限界に近づき、ヘルパー利用を検討されたとのことでした。お話を伺う中で思いがけない共通点が見つかり、それをきっかけに早い段階で信頼関係を築くことができました。改めて、この仕事は人と人との縁で成り立っていると実感した出来事でした。
開業3か月目:事業所としての幅が広がり始める
開業3か月目には、新たに3名の利用者さんが増えました。
当事業所にとって初めての女性利用者さんは、要支援1で、大きなお宅に一人暮らしをされている、とてもおしゃべり好きで明るく元気な方でした。「掃除が大変になってきたので、ヘルパーさんにお願いしたい」というご希望で、近隣のケアマネジャーさんからの紹介でサービス開始となりました。この頃から、少しずつ地域とのつながりも感じられるようになってきました。
また、当事業所で初めての小児利用者にも関わることになりました。進行性の神経疾患をお持ちで、週1回の入浴介助を希望されており、他事業所からの紹介で介入することになりました。高齢者・障害者だけでなく、小児分野にも関わることとなった出会いです。
もう1人は、障害区分6で身体障害のある方で、週1回、起床介助・就寝介助・家事援助での介入でした。これまでにも複数の事業所が関わってきたものの、本人の性格面の難しさからスタッフのメンタルが持たず、サービス継続できない事業所が続出していたと聞いていました。知り合いからの紹介だったため無下に断ることもできず、主に自分が対応することになり、技術も経験もない状態で不安だらけのままサービスを開始しました。
まとめ:走りながら学んだ最初の3か月
開業初月から2名の利用者さんを確保でき、ある程度の収益を見込めたことは、経営面で非常に大きな意味がありました。その後も少しずつ利用者さんは増えていき、3か月目には介護経験のあるパート職員も1名加わり、最初の3か月で何とか足元を固めることができたと感じています。
看護師のスタッフ以外、自分をはじめとするメンバーは完全な現場未経験でした。それでも、始まってみると意外と何とかなりました。「とにかく利用者さんに迷惑をかけられない」その一心で必死に介助方法を勉強し、それを嫌な顔ひとつせず受け入れてくださった利用者さんたちのおかげで、経験を重ねるうちに少しずつ自信がついていきました。
開業初期は計画通りにいかないことの連続です。しかし、目の前の利用者さんと真摯に向き合い続けることで、事業所は少しずつ形になっていくのだと、この3か月で学びました。
次回は、開業から半年ほど経った頃に通知が来た「運営指導」について綴ります。