行政書士として障害福祉サービスの指定申請を支援し、自らも障害福祉・介護保険サービスの事業所を経営する立場から、開業・運営の実務を発信

開業記

【訪問介護開業記】事務所準備編——物件選びと備品にかかった実費用

「訪問介護開業記」シリーズの第4回です。今回は事務所選びについて振り返ります。

事務所選びで重視したポイント

訪問介護事業を立ち上げるにあたり、次に悩んだのが事務所選びでした。利用者さんの自宅を訪問する仕事が中心とはいえ、事務所は事業の拠点です。ここが落ち着かない場所だと、スタッフも安心して働けませんし、自分自身も腰を据えて仕事ができません。

物件を探す際、重視したポイントは次のとおりです。

  • 駅からの近さ:電車通勤のスタッフがいた場合に便利だと考えました。
  • 間取り:1LDK〜2LDK程度で、事務スペースと面談室をしっかり分けられること。指定を受けるためには事務所スペースと面談室が必要で、パーテーションで区切る方法もありますが、落ち着いて話せる空間を優先しました。
  • 駐車・駐輪スペース:訪問介護は自転車や原付で移動するスタッフが多く、駐輪場は物件によって台数制限があるため重視しました。
  • 家賃:地元で「駅チカ+希望の間取り」を満たすとなると、10万円前後が妥当だろうと考えていました。

実際に選んだ物件

最終的に選んだのは、最寄り駅から徒歩5分以内にある、2LDKの一軒家でした。築年数は経っていましたが、きれいにリノベーションされており、使い勝手も良さそうな物件です。

家賃は当初の予算を上回っていましたが、立地・間取り・雰囲気のすべてが理想に近く、「ここは勢いも大事だ」と自分に言い聞かせ、即決しました。今振り返ると、このときは少し舞い上がっていたかもしれません。

賃貸借契約と初期費用

契約はもちろん法人契約です。法人契約になると消費税がかかるため、家賃の総額は当初の想定より上がりました。初期費用は、礼金・仲介手数料・初回賃料・住宅保険料(2年分)を合わせて614,000円でした。法人設立から約2週間後に鍵の引き渡しを受けました。

事務所を訪問介護仕様にカスタムする

事務所を借りたのは真夏でしたが、この物件にはエアコンが備え付けられていませんでした。すぐに購入したものの、取り付け業者がなかなか見つからず、設置は後回しになってしまいました。

家具類はすべてIKEAで購入し、すべて自分で組み立てました。エアコンのない室内で汗をかきながら、一人で黙々とデスクや書庫、椅子を組み立てていく作業は、想像以上に大変なものでした。

事務所備品にかかった費用

  • 事務デスク×4、事務チェア×4、鍵付き書庫×2、来客用机・イス(IKEA):113,160円
  • 冷蔵庫、洗濯機、エアコン×3(楽天・Amazon):308,113円
  • 中古PC×2、電話機、複合機(Amazon):167,210円
  • その他消耗品(照明器具、カーテン、清掃用具など):約150,000円

合計でおよそ60万円。事務所の賃貸初期費用や法人設立費用と合わせると、約150万円が一気に出ていきました。通帳の残高が減っていくペースに、正直、少し震えました。

インフラの整備

電気・ガス・水道の契約は、電話やインターネットで簡単にできました。一方で、電話回線とインターネット回線は開通工事が必要だったため、申込みから約10日ほどかかりました。一軒家の場合は工事が必要になることが多いため、マンションやテナントビルであれば、もっと早く楽に開通できると思います。

まとめ〜今だから思うこと〜

開業してから時間が経った今、「こんなに広い事務所じゃなくてもよかったな」と感じるようになりました。訪問介護はスタッフが外に出ている時間が圧倒的に長く、直行直帰がほとんどです。駅チカである必要も、実はそれほどありませんでした。

面談スペースだけは、「作っておいてよかった」と心から思います。それ以外は、最低限の広さで、できるだけ家賃の安い物件を選ぶのが正解だったと感じています。事務用品も、低価格で使いやすさ重視でよかったと思います。

お金がないうちは、とにかく出費を抑えること。特に事業開始前は1円も入ってこない時期が続きます。できるだけケチに、慎重に動く方が、精神的にも安定します。

次回は、指定申請書類の作成について綴っていきます。