求人票の「休日」と「休暇」は何が違う?法定休日・所定休日・年次有給休暇・特別休暇を整理
こんにちは、ぺーさんです。
今回から「求人票シリーズ」を始めます。求人票を「書く側」の事業所運営者のかたを主な読者にしつつ、求人票を「読む側」の求職者のかたにも役立つ内容を目指します。労務の一般的な制度の解説にとどめ、個別の相談や手続の代行には踏み込みません。
第1回は「休日」と「休暇」の違いです。求人票の休日欄は、応募するかどうかを左右する項目ですが、言葉の使い分けがあいまいなまま書かれていることも少なくありません。
「休日」と「休暇」は別のもの
厚生労働省の労働局の解説では、休日は「労働契約において労働義務がないとされている日」とされています。もともと働かなくてよい日、ということです。
これに対して休暇は、本来は働く日(労働日)について、労働義務を免除する制度、と整理するのが一般的です。たとえば年次有給休暇は、労働基準法39条が「労働日」の有給休暇として定めています。
この違いが、休日出勤の割増賃金や、求人票の「年間休日数」に何を含めるかの判断につながります。
4つの区分の違い
| 区分 | 性質 | 根拠・決め方 |
|---|---|---|
| 法定休日 | 休日 | 労働基準法35条。毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上 |
| 所定休日(法定外休日) | 休日 | 就業規則や労働契約で会社が定める。法定休日を上回る分 |
| 年次有給休暇 | 休暇 | 労働基準法39条。要件を満たせば法律上必ず与える |
| 特別休暇 | 休暇 | 会社が任意に設ける法定外の休暇。慶弔、夏季、病気、リフレッシュなど |
法定休日
労働基準法35条は、毎週少なくとも1回の休日を与えること、または4週間を通じて4日以上の休日を与えることを求めています。休日は原則として暦日(午前0時から午後12時)で数えるため、たとえ1時間でも働かせた日は、休日を与えたことになりません(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。
所定休日(法定外休日)
週40時間の枠に収めるため、多くの会社は週2日の休みを設けています。この場合、1日が法定休日、もう1日が所定休日という扱いになるのが典型的です。労働局の解説では、どの日が法定休日かを就業規則などで明確にしておくことが望まれるとされています。
年次有給休暇
条文上、雇入れから6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に、10労働日の有給休暇を与えなければなりません。その後は勤務年数に応じて日数が加算されます。週の所定労働日数が少ないパートタイムの人には、その日数に応じた比例付与があります。
また、年10日以上の年休が付与される労働者には、基準日から1年以内に5日を、使用者が時季を定めて取得させる義務があります(39条7項)。
特別休暇
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」は、特別な休暇制度を、労使の話し合いで任意に設定できる法定外の休暇としています。法律上の付与義務はありません。ただ、会社で設けている休暇は就業規則に必ず定める必要がある、とモデル就業規則に注記されています。
休日出勤の割増賃金
厚生労働省の資料では、次のように整理されています。
- 法定休日に働いた場合は、通常の賃金の35%以上の割増賃金が必要です(深夜と重なれば60%以上)
- 所定休日(法定外休日)に働いた場合は、休日労働の割増ではなく、その週の労働時間が40時間を超えれば、時間外労働として25%以上の割増が必要です
なお、法定休日に働かせるには、労使協定(36協定)の締結と届出が必要です。事前に休日を入れ替える「振替休日」なら休日労働になりませんが、休日に働いたあとに与える「代休」は、休日労働の扱いになります。
求人票を書く側の注意点
以下は法令の解説です。休日・休暇に関する事項は、労働契約の締結時に明示すべき労働条件に含まれます(労働基準法施行規則5条)。募集の段階でも、職業安定法5条の3が、労働時間その他の労働条件の明示を求めています。
そのうえで、以下は法令の内容ではなく、私の実務経験にもとづく考えです。
- 「休日」「年間休日数」「有給休暇」「特別休暇」の欄を混ぜない
- 年間休日数には、就業規則などで労働義務がないと定めた日を数えます。厚生労働省の就労条件総合調査の定義でも、年間休日総数は「労働義務がないとされた」休日の合計です。年休は含めません
- 夏季休暇や年末年始を、休日として定めているのか、休暇として定めているのかを就業規則と揃えておく
たとえば、次のような書き方は誤解のもとです(仮想の記載例です)。
年間休日:120日(有給休暇・夏季休暇を含む)
有給休暇は本人の請求で取る日ですから、休日数に含めて示すと、求職者は「毎年決まって120日休める」と受け取りかねません。
年間休日:105日(土日・祝日・年末年始)/有給休暇:入社6か月後に10日/夏季休暇:3日(特別休暇・年間休日には含みません)
このように、それぞれの数字が何を指すのかが分かる書き方が安心です。
求人票を読む側の注意点
- 「年間休日数」に有給休暇や特別休暇が含まれていないか、内訳を確認する
- 有給休暇欄の日数は、ハローワークの高卒求人票の解説では「取得可能日数」であり、取得実績ではないと注意されています。入社後いつから使えるかも見る
- 「休日出勤あり」とある場合は、割増賃金の扱いや、代休・振替の運用を面接で聞いてみる
- シフト制の職場では、曜日が固定かどうかも確認する
まとめ
休日は「働かなくてよい日」、休暇は「働く日の義務を免除する制度」です。この区別を押さえれば、求人票の休日欄は読み解きやすくなり、書く側もぶれずに書けます。次回は、よく混同される「週休2日制と完全週休2日制の違い」を取り上げます。
本記事は、公開されている資料をもとに一般的な制度を整理した情報提供です。個別の事案や最新の法令の扱いについては、社会保険労務士などの専門家や労働局にご確認ください。
参考にした資料
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)
- 職業安定法(e-Gov法令検索)
- 休日(第35条)|和歌山労働局
- 休日?・・・法定休日?|山梨労働局
- 法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省
- 時間外・休日労働と割増賃金|確かめよう労働条件|厚生労働省
- 法定労働時間と法定休日、時間外労働の基本|大阪労働局
- 年次有給休暇|確かめよう労働条件|厚生労働省
- 特別な休暇制度とは|働き方・休み方改善ポータルサイト
- モデル就業規則 第5章 休暇等|厚生労働省
- 令和7年就労条件総合調査 用語の説明|厚生労働省
- 高卒求人票の見方リーフレット|新潟労働局・ハローワーク