行政書士として障害福祉サービスの指定申請を支援し、自らも障害福祉・介護保険サービスの事業所を経営する立場から、開業・運営の実務を発信

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令和9年度の報酬改定、いま何が議論されている?障害福祉と介護保険の論点と、事業所が今から備えたいこと

こんにちは、ぺーさんです。

2027年度(令和9年度)に向けた報酬改定の議論が、厚生労働省の会議で少しずつ具体的になってきました。

今回は、現時点で公表されている資料と報道をもとに、障害福祉と介護保険の論点を整理し、事業所が今から備えられることをまとめます。

※本記事で紹介する内容は、いずれも「案」や「議論」の段階です。最終的な決定ではなく、今後変わる可能性があります。正式な内容は、厚生労働省の資料や通知でご確認ください。

障害福祉:「主な論点(案)」が示されています

2026年8月27日の「障害福祉報酬改定検討チーム」(第62回)で、令和9年度改定に向けた主な論点(案)が示されました。10月5日の第65回検討チームでは、障害児支援が議題になっています。

全体の方向性としては、次の2つが挙げられています。

  • 持続可能なサービス提供体制の確保:物価高騰や賃金上昇への対応、他の職種と遜色のない処遇改善、ICT活用などの生産性向上
  • サービスの質の確保とメリハリのある報酬体系:質の高い事業所が適切に評価される形への見直し

放課後等デイサービス・児童発達支援

  • 支援スタッフの育成や、専門職によるチーム支援の評価
  • 児童発達支援センターの中核機能の強化と地域連携
  • 医療的ケア児・重症心身障害児への支援、家族支援
  • 障害児支援から障害者支援への、切れ目のない移行

就労移行支援・就労継続支援

  • 多様なニーズや働き方への対応
  • 新しく始まった就労選択支援の実施状況を踏まえた対応
  • 長期化している経過措置の見直しを含む、質の高い事業所の適正な評価

介護保険:「基本的な視点(案)」が示されました

2026年9月30日の社会保障審議会・介護給付費分科会(第268回)で、令和9年度介護報酬改定の「基本的な視点」の案が示されました。この日は決定には至らず、委員の意見を反映したうえで、審議報告に盛り込まれる予定とされています。

案の柱は5つです。

  1. 物価・賃金の上昇への対応と、処遇改善
  2. 人口減少・需要の変化に応じた提供体制(「特定地域サービス等」の活用、中山間地域の加算の見直しなど)
  3. 地域包括ケアシステムの深化(医療・介護連携、認知症支援、虐待防止、LIFEの活用など)
  4. 職場環境の改善と生産性向上(介護テクノロジー、タスクシフト/シェアなど)
  5. 制度の安定性・持続可能性(報酬体系の整理・簡素化)

分科会では、事業者側の委員から基本報酬の引き上げを求める意見が出る一方で、保険料負担への配慮を求める意見も出ており、給付と負担のバランスが論点になっています。

共通して見えてくるキーワード

障害福祉と介護保険の資料を並べると、共通する方向性が見えてきます。

  • 処遇改善:物価・賃金の上昇への対応と、他職種並みの水準
  • 生産性向上:ICTや介護テクノロジーの活用、業務の見直し
  • 質の評価:メリハリのある報酬、質の高い事業所の評価
  • 虐待防止など基本の体制:運営基準を守れているかが前提

「質の高い事業所が評価される」という方向は、裏を返せば、運営基準や記録、体制が整っていない事業所には厳しくなる可能性がある、ということでもあります。

事業所が今から備えたい5つのこと

① 自事業所の収支と加算の取得状況を把握する どの加算を取っていて、どれが取れていないのか。現状を一覧にしておくと、改定後の判断が早くなります。

② 処遇改善の仕組みを整理する キャリアパスの要件、賃金規程、研修計画など、処遇改善に関する書類を最新の状態にしておきます。

③ 法定の取り組みを確認する 虐待防止、身体拘束の適正化、BCP、感染症対策、ハラスメント防止などの体制と記録が、日常的に回っているかを点検します。

④ 記録と運営規程を整える 個別支援計画、日々の記録、運営規程が実態に合っているかを確認します。運営指導(実地指導)の備えにもなります。

⑤ 業務の見直しとICT化を進める 記録の電子化や連絡手段の整理など、できるところから始めます。

今後のスケジュールの見方

報酬改定は、会議での議論を経て審議報告がまとめられ、その後に報酬の単価や算定要件が示されるという流れで進みます。単価や要件が見えるのは、議論がさらに進んでからです。

今は「方向性を知り、足元を整える時期」と考えるとよいと思います。新しい情報が出たら、このブログでも整理してお伝えします。

まとめ

  • 令和9年度の報酬改定に向けて、障害福祉・介護保険ともに議論が進んでいる
  • 現時点で公表されているのは、あくまで「論点(案)」「基本的な視点(案)」
  • 処遇改善、生産性向上、質の評価が共通するキーワード
  • 決定を待つ間に、加算の状況、法定の取り組み、記録・規程を整えておく

障害福祉サービスの指定申請や運営、加算の届出で迷ったときは、早めに専門家へご相談ください。ぺーさんは、行政書士として障害福祉の指定申請や運営のサポートをしています(書き手について)。

また、虐待防止、BCP、感染症対策、ハラスメント防止など、運営に必要な書類は、雛形テンプレートでも用意しています。体制づくりの出発点にご活用ください。


参考資料

※本記事は公表資料と報道に基づく一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての判断ではありません。最新の正式な情報は、厚生労働省の発表をご確認ください。