今週の介護・障害福祉ニュースまとめ(10/17号)
こんにちは、ぺーさんです。
今週も、介護・障害福祉に関わるニュースの中から、事業所の運営に関わりそうなものを選んでお届けします。今週取り上げるのは、次の4つです。
- 介護報酬改定「処遇改善」を基本的視点に明記(2027年度改定に向けて)
- 障害福祉サービスの報酬改定、訪問系・就労系サービスの検討が進行中
- 介護費用、過去最高の12兆2,208億円に(令和7年度)
- 障害児支援に新しい研修制度、全常勤職員が対象に(2027年度導入予定)
それぞれ、何が発表されたのか、事業所への影響、やっておきたいことの順にまとめます。
1. 介護報酬改定「処遇改善」を基本的視点に明記(2027年度改定に向けて)
何が発表された 9月30日に開かれた厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会(第268回)で、2027年度(令和9年度)の介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」が示されたと報じられています。改定の柱は5つあり、そのひとつに「物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善」が明記され、「他職種と遜色のない処遇改善を実現する」という方向性が示されたとのことです。あわせて、介護保険制度の持続可能性を確保するため、報酬体系を簡素化・重点化していく方針も柱のひとつに含まれていると報じられています。
事業所への影響 現時点ではまだ「案」の段階で、具体的な報酬額や加算の変更は示されていません。ただ、処遇改善が改定の柱として明記されたことは、今後の処遇改善加算の見直しにつながる可能性があります。一方で「報酬体系の簡素化」は、現行の加算区分が整理・統合される可能性を示しており、算定要件が変わる場合に備えておく必要がありそうです。
やっておきたいこと 今すぐ経営判断を迫られる話ではありませんが、処遇改善加算の算定状況や賃金改善の実績を今のうちに整理しておくと、改定後の対応がスムーズになります。今後の分科会の議論の行方も、定期的に確認しておきましょう。
2. 障害福祉サービスの報酬改定、訪問系・就労系サービスの検討が進行中
何が発表された 2027年度(令和9年度)の障害福祉サービス等報酬改定に向けて、厚生労働省の「障害福祉報酬改定検討チーム」で議論が進んでいます。9月24日の第63回会合では訪問系サービス(居宅介護・重度訪問介護等)が、9月28日の第64回会合では就労系サービスが、それぞれ議題として取り上げられたことが厚生労働省のサイトで公表されています。10月5日の第65回会合では、障害児支援が議題になりました。
事業所への影響 訪問系サービス(居宅介護・重度訪問介護等)がすでに議題として取り上げられたことは、これらのサービスを提供する事業所にとって、来年度以降の人員基準や報酬の見直しに直結する可能性があります。現時点では、議論の具体的な中身(論点や方向性)はまだ公表されていません。
やっておきたいこと 検討チームの資料は厚生労働省のウェブサイトで順次公開されますので、該当する資料が出た際には目を通しておくことをおすすめします。特に居宅介護・重度訪問介護を提供している事業所は、訪問系サービスの議論の行方を引き続き注視しておきましょう。
3. 介護費用、過去最高の12兆2,208億円に(令和7年度)
何が発表された 厚生労働省が公表した「令和7年度介護給付費等実態統計の概況」(令和7年5月審査分~令和8年4月審査分)によると、介護費用の総額は12兆2,208億円となり、前年度から2,827億円増加して過去最高を更新したと報じられています。平成13年度の4兆3,782億円と比べると、約2.8倍の水準になっています。
事業所への影響 介護費用の増加は、保険料負担や国の財政への懸念につながりやすく、次期報酬改定の議論(給付の適正化・重点化など)に影響する可能性があります。すぐに今の事業運営が変わるわけではありませんが、給付費の伸びが続く限り、報酬の抑制や算定要件の厳格化といった議論が強まりやすい背景として、頭の片隅に置いておきたい数字です。
やっておきたいこと この数字そのものに対して何かをする必要はありませんが、「給付の適正化」が今後の改定議論に出てきたときのために、自分の事業所の請求・記録が適切に行われているかを、日頃から点検しておくと安心です。
4. 障害児支援に新しい研修制度、全常勤職員が対象に(2027年度導入予定)
何が発表された こども家庭庁は、障害児支援の従事者向けに新しい研修体系(基礎・実践研修、リーダー研修、コア人材研修の3段階)を検討しており、2027年度の導入を予定していると報じられています。このうち「基礎・実践研修」は、児童発達支援・放課後等デイサービス・障害児入所施設など障害児サービス全般の常勤職員(新任・経験者を問わず)が対象とされ、2つの段階・計29科目・約29時間を、動画視聴と振り返りを組み合わせて受講する形が検討されています。非常勤職員については、研修の一部を受講する方向で検討している段階とのことです。
事業所への影響 対象となる障害児サービスを運営している場合、導入されれば全常勤職員の研修受講と記録管理が必要になります。約29時間という時間を、日々の勤務シフトの中でどう確保するかが、運営上の課題になりそうです。
やっておきたいこと まだ検討段階ですが、対象サービスを運営している事業所は、今のうちから「誰が・いつ・どのように研修時間を確保するか」をイメージしておくと、制度化された際にあわてずに対応できます。
まとめ
今週は、介護・障害福祉の両方で、2027年度の報酬改定に向けた動きが具体化してきた週でした。処遇改善の必要性が改定の柱として明記されたこと、障害福祉の訪問系・就労系サービスの議論が始まったこと、どちらも今後の運営に影響しうる変化です。あわせて、介護費用が過去最高を更新したというニュースは、今後の改定論議が「抑制」の方向にも振れうる背景として押さえておきたいところです。
以下は私の考えです。処遇改善や研修の充実は、人材確保の面では前向きな方向だと感じています。一方で、研修時間の確保や記録管理など、現場の事務負担が増える面もあります。制度が固まる前の今の段階から、自事業所でできる準備(記録の整理、研修時間の確保方法のイメージづくりなど)を少しずつ進めておくことが、変化への対応をラクにしてくれると思います。
本記事は、公開されている情報をもとに一般的な内容を整理したものです。最新かつ正確な内容は、各省庁・自治体の公式資料をご確認ください。
参考にした資料
- 厚生労働省「第268回社会保障審議会介護給付費分科会」資料2「令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)概要」(令和8年9月30日)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001753963.pdf
- 福祉新聞Web「介護報酬改定で処遇改善の必要性明記 厚労省が基本的視点案を発表」(2026年10月10日)https://fukushishimbun.com/series05/46076
- 厚生労働省「障害福祉報酬改定検討チーム」開催状況一覧(第63回・第64回・第65回)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_446935_00001.html
- かいけつ!人事労務「令和7年度の介護費用の総額『12兆2,208億円』で過去最高を更新(厚労省)」(2026年10月5日)https://www.kaiketsu-j.com/environment/24378/
- 厚生労働省「介護保険事業状況報告・介護給付費等実態統計」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/25/index.html
- 福祉新聞Web「障害児支援の全常勤職員に基礎研修 27年度導入を予定<こども家庭庁>」(2026年10月13日)https://fukushishimbun.com/series06/46085