虐待防止研修の準備に丸1日かけていませんか?——年1回の研修を、記録まで残して回すコツ
こんにちは、ぺーさんです。
虐待防止の研修、今年はもう済みましたか? 「やらなあかんのはわかってるけど、資料を作る時間がない」「登録ヘルパーさんが多くて全員集まる日がない」——同じ事業所運営者として、その気持ちはよくわかります。
今回は、虐待防止研修について「何が求められているのか」をおさらいしたうえで、現場でつまずきやすい3つのポイントと、短い時間で記録まで残して回すコツを整理します。
虐待防止研修で求められていること
障害福祉サービス・介護保険サービスのどちらも、虐待防止のための研修を定期的に(年1回以上)、全従業者に対して実施することが運営基準で求められています。新しく職員を採用したときにも研修を行うことが重要とされています。
あわせて、研修を行ったことを示す記録も必要です。自治体の資料では、研修の記録、欠席者へのフォローの記録、研修資料を送った履歴などが記録の例として挙げられています。運営指導では「研修をしたかどうか」だけでなく、「全員が受けたことを確認できるか」が見られると考えておきましょう。
やっていないと、基本報酬が1%減算
令和6年度の報酬改定から、虐待防止の措置ができていない事業所は、基本報酬(所定単位数)が1%減算されるようになりました。
減算の対象になるのは、研修だけではありません。
- 虐待防止委員会を定期的に開き、結果を職員に周知すること
- 職員への研修を定期的に行うこと
- これらを担当する担当者を置くこと
- (介護保険サービスの場合)虐待防止のための指針を整えること
このうち一つでも欠けていると減算になります。運営指導などで確認された場合は、確認された月の翌月から、改善が認められるまで減算が続きます。
1%というと小さく聞こえますが、月の報酬が100万円の事業所なら、毎月約1万円です。改善報告が認められるまで数か月続けば、それだけで数万円になります。
現場でつまずきやすい3つのポイント
1. 資料づくりに時間がかかる
一から研修資料を作ろうとすると、厚生労働省の手引きや基準を読み込むところから始まります。虐待の5つの類型、身体拘束の3要件、通報のルール……と押さえるべき内容は多く、さらに理解度を確かめるテストや、記録用の様式まで用意するとなると、慣れている人でも丸1日はかかります。
行政書士として制度にはなじみがある私でも、自分ひとりで一式そろえようとすると丸1日はかかると思います。現場に入りながら、シフト作成や請求の合間にこの1日を確保するのは、正直かなり大変です。
2. 全員が集まれない
訪問系の事業所は特に、登録ヘルパーさんの働く時間帯がばらばらで、全員が同じ日に集まるのは現実的ではありません。集合研修だけで実施しようとすると、欠席者へのフォローがいつまでも終わらない、ということになりがちです。
3. 記録が残っていない
研修はやったけれど、誰が受けたのか、理解できていたのかがわかる記録がない——これは運営指導で指摘されやすいパターンです。研修資料だけでなく、受講した人の名前・日付・理解度の確認結果を残しておく必要があります。
短い時間で、記録まで残して回すコツ
この3つのつまずきを避けるために、おすすめしたい回し方があります。
資料は「読むだけでわかる」ものを用意する 口頭の説明に頼らず、資料を読めば要点が伝わる形にしておくと、集合研修でも個別受講でも同じ内容を届けられます。
集合研修にこだわらず、各自で受講してもらう 資料を配布して各自で読んでもらい、理解度確認のテストに答えて提出してもらう形にすると、登録ヘルパーさんも自分の都合のよいタイミングで受講できます。どの方法が認められるかは、念のため指定権者(自治体)にも確認しておくと安心です。
テストの回答をそのまま記録にする 提出されたテストの結果を一覧にしておけば、「全員が受講し、内容を理解した」ことを示す記録になります。研修資料、テストの回答、受講者一覧の3つがそろっていれば、運営指導でもすぐに提示できます。
準備の時間を省きたい方へ
ここまで読んで、「やり方はわかったけど、その資料を作る時間がない」と感じた方もいるかもしれません。
ふくしノートでは、上でご紹介した回し方をそのまま実践できる「虐待防止・身体拘束適正化研修 研修資料セット」を販売しています。
- 研修資料:図表中心のスライド形式で、読むだけで要点がつかめます(訪問系・通所系・入所居住系 × 障害福祉版・介護保険版・共通版の全9版)
- 理解度確認テスト+管理者用の解答キー
- 受講記録簿(Excel):回答を入力すると、正答数と合否を自動で判定します
資料・テスト・記録の3点がそろっているので、職員が資料を読んでテストに答え、管理者が結果を記録簿に入力するだけで、研修の実施から記録までが完結します。
価格は11,000円(税込)です。資料づくりにかかる丸1日と、減算のリスクの両方を考えると、事業所にとって無理のない価格に設定しました。行政書士・社会福祉士であり、自らも障害福祉・介護保険サービスの事業所を運営している私が監修しています。
虐待防止委員会や指針の整え方については、「障害福祉サービスの虐待防止体制——委員会・研修・指針をどう整えるか」で詳しく解説しています。指針・マニュアルの雛形が必要な方は、「障害者虐待防止・身体拘束適正化 指針+マニュアル+同意書セット」もあわせてご覧ください。
まとめ
- 虐待防止研修は、年1回以上・全従業者が対象。実施した記録も必要です
- 研修・委員会・担当者(介護保険では指針も)のどれかが欠けると、基本報酬が1%減算されます
- 「読むだけでわかる資料」「各自で受講できる形」「テストの回答をそのまま記録に」の3つで、短時間でも記録まで残して回せます
研修は、職員一人ひとりが「どこからが虐待なのか」を自分の言葉で理解するための大切な機会です。準備の負担を減らして、中身にしっかり時間を使えるようにしていきましょう。
本記事は、公開されている情報をもとに一般的な内容を整理したものです。最新かつ正確な内容は、各省庁・自治体の公式資料をご確認ください。
参考にした資料
- 島根県「虐待防止措置未実施減算について」https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/fukushi/syougai/jigyousya/syougaiservice/gyakutaibousisoti_mijisshigensan.html
- 日本理学療法士協会ほか「令和6年度介護報酬改定 高齢者虐待防止の推進」https://www.pt-ot-st.net/pdf/2024/r6kaigo/49.pdf
- 港区「運営指導における留意事項(令和6年度)」https://www.city.minato.tokyo.jp/documents/102208/ryuui-jikou-r06.pdf