ふくしノート

訪問系障害福祉サービスの開業・運営を、行政書士の実務目線で

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指定申請の要件チェック——人員基準・法人格・欠格事由

前回の記事では、訪問系障害福祉サービスの開業までの全体の流れを整理しました。今回は、指定申請の準備段階で必ず確認しておきたい「そもそも申請できる状態にあるか」という自己診断のポイントを、法人格・人員基準・欠格事由の3つに分けて解説します。

指定基準には本来「設備基準」「運営基準」も含まれますが、この2つは事業所を具体的に決めてから詰める内容になるため、別の記事で扱います。今回はまず、事業を始める前の段階で判断できる3点に絞ります。

1. 法人格を持っているか

障害福祉サービスは、個人事業主のままでは指定を受けられません。必ず法人を設立する必要があります。株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人など、法人の種類そのものは問われません。

ここで実務上つまずきやすいのが、定款(NPO法人・一般社団法人の場合は定款、株式会社・合同会社の場合も定款)の「事業目的」の書き方です。単に「障害福祉事業」とだけ記載していると、指定申請の窓口で目的の記載が不十分と判断され、定款変更を求められることがあります。「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」など、根拠法令に基づいた文言を入れておくと、この段階でのやり直しを避けられます。

法人設立後に定款の目的を修正するには、登記の変更手続きと登録免許税(3万円)が必要になります。これから法人を設立する場合は、定款作成の時点で事業目的の文言を確認しておくことをおすすめします。

2. 人員基準を満たせるか

訪問系サービス(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護)に共通する人員体制は、大きく3つの役割に分かれます。

従業者(ヘルパー) 常勤換算方法で2.5以上の配置が必要です。これは指定障害福祉サービスの人員基準を定める省令(平成18年厚生労働省令第171号)に基づく最低基準で、常勤2.5人分の勤務時間を、複数の非常勤スタッフの勤務時間を合算して満たす形でも構いません。

サービス提供責任者 資格要件は、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修修了者・看護師(准看護師を含む)のいずれかです。初任者研修修了者もサービス提供責任者になれますが、3年以上の実務経験が必要で、居宅介護では報酬が30%減算される対象になる点に注意してください。同行援護では同行援護従業者養成研修修了者、行動援護では行動援護従業者養成研修修了者であることが必須で、居宅介護の資格だけでは従事できません。

配置人数は事業規模に応じて決まり、次の基準のうちいずれか少ない人数で足ります。

  • 利用者数40人(またはその端数)ごとに1人以上
  • 従業者数10人(またはその端数)ごとに1人以上
  • 月間延べサービス提供時間450時間(またはその端数)ごとに1人以上

新規指定の申請時点では実績がないため、開業後の見込み利用者数・見込み従業者数から推定して人員体制を組み立てることになります。

管理者 管理者には資格要件がありません。ただし、専らその職務に従事する常勤の者を置くのが原則です。管理業務に支障がないと認められる範囲であれば、サービス提供責任者や他事業所の職務との兼務も認められています。開業直後は管理者とサービス提供責任者を兼務し、事業が軌道に乗った段階で分離するケースもよく見られます。

3. 欠格事由に該当していないか

法人自体、あるいは法人の役員に次のような事由がある場合、指定を受けられません(障害者総合支援法第36条第3項各号)。

  • 申請者が法人でない場合、または人員基準を満たせない場合
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から一定期間を経過していない者
  • 労働・社会保険関係の法令に違反して罰金刑に処せられ、一定期間を経過していない者
  • 指定を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過していない者
  • 指定申請前5年以内に、障害福祉サービスに関し不正または著しく不当な行為をした者
  • 法人の役員等のうちに、上記のいずれかに該当する者がいる場合

過去に別の介護・福祉事業で行政処分を受けた経験がある方が新たに法人を設立する場合、役員構成によっては欠格事由に触れる可能性があるため、法人設立前の段階で確認しておくと安心です。

まとめ——3点セルフチェック

  • 定款の事業目的に、障害福祉サービス事業である旨が根拠法令に基づいて記載されているか
  • 従業者(常勤換算2.5以上)、サービス提供責任者(資格要件・配置人数)、管理者の3職種の体制を組めるか
  • 法人・役員に欠格事由に該当する事実がないか

この3点をクリアできる見込みが立った段階で、次はいよいよ指定申請のスケジュールを具体的に組み立てる段階に入ります。次回は、兵庫県における指定申請の受付期間と指定日の考え方について解説します。

本記事は一般的な情報を整理したものであり、個別の事業所の状況によって必要な手続きや判断は異なります。実際の指定申請にあたっては、最新の要綱をご確認のうえ、行政書士などの専門家にご相談ください。